名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2017号 判決
原判決によれば、原判決が本件追起訴状記載に係る所論公訴事実と同一内容の所論の原判示窃盗事実を認定するに際つて、所謂山田兵一提出の盗難被害上申書を拳示して居ることは、洵に所論の通りであるが、本件訴訟記録中に編綴されて居る右盗難被害上申書を閲すると、なるほど同盗難被害上申書には所論のように作成年月日が記載されて居ないけれども、同作成者の住所は記載されて居り、従て同盗難被害上申書が、右原判示窃盗の被害者である山田兵一により作成されたものであることは之を明認し得べく、更に原審各公判調書を通ずれば、元来右盗難被害上申書は、原審公判廷に於て、検察官から之に付証拠調の請求が為されたものであるところ、之に対し、被告人に於ては之を証拠とすることに同意し、且弁護人に於ても検察官の右請求に付意見なき旨を述べたので、茲に原審に於ては検察官の右証拠調の請求を採用する旨の決定を宣した上、之が証拠調手続を適法に履践した事実を認め得られるので、右盗難被害上申書には曩に説明したように其の作成年月日は記載されて居ないけれども、之を所論の原判示窃盗事実を認定するの証拠として採用するも何等妨げなく、従て原判決が所論の原判示窃盗事実を認定するに際つて、右盗難被害上申書を採用したのを捉え云為する部分の所論は当らない。
(後略)